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STORY / ID 3438

ギア

AKAI MPCシリーズがヒップホップ・プロダクションを変えた歴史

AKAI MPCシリーズは、ロジャー・リン(Roger Linn)が日本の楽器メーカーAkaiと共同開発したサンプリング機材であり、初代MPC60以降のモデル展開とともに、ヒップホップ・プロダクションにおける具体的な使用例を通じてその特徴が示される。

AKAI MPCシリーズは、ヒップホップ・プロダクションの現場で使用されてきたサンプリング機材である。MPC(MIDI Production Center)は、ドラムマシンLM-1・LinnDrumの設計者であるアメリカ人エンジニア、ロジャー・リン(Roger Linn)が、日本の楽器メーカーAkaiと共同で開発した。回路設計はデイヴィッド・コッカレル(David Cockerell)が率いるチームが担当し、Akaiが製造面を担った。リンは、取扱説明書を読まずに直感的に使えるインターフェースを目指したとされる。

初代モデルのMPC60は1988年12月8日に発売され、小売価格は約5,000ドルだった。最大の特徴は、スイッチやボタンに代えて採用された4×4のグリッド状の感圧式ラバーパッドで、サンプリングとシーケンシングを1台に統合した点が革新的だった。MPC60は当時のメモリコストの制約により、サンプル1個あたりの長さが最大13秒に制限されていた。2つのコントロールノブ・LCD画面・フロッピーディスクによるデータ保存機能も備えていた。

MPC60の後継としてMPC60 MkIIが発売され、その後MPC3000が続いた。これらの正確な発売年については確認されていない。MPC2000XLというモデルも存在する。

著名な使用例として、DJ Shadowは1996年のアルバム『Endtroducing…..』(全編サンプルのみで制作されたアルバム)をMPC60 MkIIで制作した。J Dillaは自身のMPCのクオンタイズ(グリッドへの自動補正)機能をあえて無効化し、意図的にリズムをずらした「オフキルター」と呼ばれる独特のグルーヴを生み出したことで知られる。彼が使用していたMPC実機は、2014年時点でスミソニアン博物館に保存されている。カニエ・ウェスト(Ye)は2004年のアルバム『The College Dropout』の楽曲制作にMPCを使用し、2010年のMTVビデオ・ミュージック・アワードではMPC2000XLを使ってパフォーマンスを行った。